なぜ『君の名は。』の裏テーマが 瀬織津姫 と読めるのか
※以下は神道・神話リテラシー前提の読解です。
① 瀬織津姫とは何者か
瀬織津姫(せおりつひめ)は
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水・川・流れ・境界を司る
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「祓い」「穢れの転換」「時間を流す」
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表舞台から消された女神(記紀にほぼ登場しない)
という性質を持つ存在です。
👉 時間・記憶・災厄を“流して書き換える”神
② 三葉=瀬織津姫的存在
三葉には以下が集中しています。
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巫女の血筋
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口噛み酒(身体を媒介にした神事)
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彗星災害と強く結びつく
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死と再生をまたぐ存在
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記憶が「消える」「残る」を行き来する
これは
人と神、過去と未来、生と死の境界に立つ女性像
で、瀬織津姫の性質と一致します。
③ 「結び」=水神思想
映画で繰り返される言葉:
「結びとは、時間の流れそのもの」
これは神道的にはかなり異例な表現で、
水の神=時間を流す存在という思想そのもの。
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糸
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水
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時間
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記憶
すべて「流れる」もの。
👉 瀬織津姫は流すことで世界を更新する神
④ 隕石災害=祓いの神話構造
糸守の破壊は単なるディザスターではなく、
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一度、完全に“穢れた時間”を終わらせ
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過去を書き換え
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もう一度、世界を清め直す
という 「大祓」構造 になっています。
これは
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瀬織津姫 → 穢れを川へ流す
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次の神へ託す
という神話的役割と重なります。
⑤ なぜ名前を出さないのか
重要なのはここです。
新海誠は「神の名前」を出さない。
出すのは
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結び
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宮水
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巫女
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ご神体
つまり
「神の物語」ではなく
「神が抜け落ちた後の日本人の物語」
として描いている。
瀬織津姫が歴史から消された神であることと、
映画内で神の名が決して語られないことは、
構造的に一致しています。
まとめ(核心)
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表テーマ:青春・恋・入れ替わり
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中層テーマ:時間と記憶の再接続
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裏テーマ:瀬織津姫的な水神=祓い=時間改変
だからこの映画は
観る人の“無意識”に強く刺さる。
