# AIに仕事を任せる前に、仕事の進め方を入れる。VWorkにKurage Work Protocolを組み込みました AIで業務改善を進めるとき、多くの人が最初に考えるのは「どのAIを使うか」です。 Codexを使うのか。Claude Codeを使うのか。ChatGPTを使うのか。あるいは、自社専用のAIエージェントを作るのか。 もちろん、使うAIは重要です。 しかし実際に仕事で使ってみると、もっと大事な問題が見えてきます。 それは、**AIに何をどう任せるか**です。 AIに「これ作って」と頼めば、何かは出てきます。けれど、実務ではそれだけでは足りません。 - 何をもって完了とするのか - どのデータを触ってよいのか - 公開してよいのか、確認が必要なのか - エラーが出たときにどう記録するのか - 作ったものを誰がどう確認するのか - 次に改善することをどこへ残すのか ここが曖昧なままAIを使うと、作業は速く見えても、会社の中には不安定なものが増えていきます。 株式会社エクスブリッジでは、VWorkフレームワークに **Kurage Work Protocol** を組み込みました。 これは、お客様環境でバイブコーディングを始めるときに、最初から「AIと仕事を進めるルール」を同梱するための仕組みです。 --- ## Superpowersから得たヒント 今回の発想のきっかけになったOSSが、[obra/superpowers](https://github.com/obra/superpowers) です。 Superpowersは、AIコーディングエージェント向けのスキルフレームワークであり、ソフトウェア開発の方法論です。 特徴は、AIにいきなりコードを書かせるのではなく、次のような流れを重視する点です。 - まず目的を確認する - 仕様を整理する - 実装計画を作る - 小さなタスクへ分ける - テストやレビューを挟む - 完了前に検証する - 作業の証跡を残す つまり、Superpowersは「AIを賢くする魔法」ではありません。 むしろ、AIが暴走しないように、仕事の進め方を先に決める仕組みです。 これは経営者にとって非常に重要です。 AI導入で失敗しやすいのは、AIの性能が低いからだけではありません。多くの場合、仕事の渡し方、確認の仕方、完了の定義が曖昧だからです。 --- ## Kurage Work Protocolとは何か Kurage Work Protocolは、エクスブリッジが実際のAI開発、動画生成、ブログ投稿、SNS告知、ブラウザ自動化、YouTube投稿、業務ツール開発で得た失敗と改善をもとに整理した、AI作業の共通プロトコルです。 重要なのは、これはkdeck専用の機能ではないということです。 kdeckは、AI Agentタスクを管理する強力な入口のひとつです。しかし、すべての作業をkdeckだけで行うわけではありません。 実際の現場では、次のような入口が混在します。 - Codex - Claude Code - kdeck - kvtuberからの依頼 - workerジョブ - browser-useやkargovによる自動操作 - 手作業のターミナル実行 だからこそ、入口ごとにルールを作るのではなく、**どの入口から作業しても共通して守る作業プロトコル** が必要になります。 Kurage Work Protocolは、そのための共通ルールです。 --- ## 何を防ぐための仕組みなのか AI活用で怖いのは、失敗そのものではありません。 本当に怖いのは、失敗したのに成功したように見えてしまうことです。 たとえば、次のようなことが起きます。 - 動画が生成されたが、音声が入っていない - 画面はそれらしいが、本物の操作ではない - 投稿ジョブはキューに入ったが、公開はされていない - YouTubeに送信したが、公開URLでは見られない - SNS投稿文に古いURLや間違った投稿者が入っている - コードは書いたが、コミットされず残骸が残っている - AIが「完了」と言ったが、実際には確認していない これは、AIが悪いというより、完了条件が曖昧なまま作業していることが原因です。 Kurage Work Protocolでは、次の考え方を明確にしています。 ```text 開始した = 完了ではない キューに入った = 完了ではない アップロードした = 完了ではない 生成した = 完了ではない 公開URLで確認できた、動作を確認した、記録を残した = 完了 ``` この違いを、最初から作業ルールとして入れることが重要です。 --- ## VWorkフレームワークにどう組み込んだか VWorkは、お客様PCに導入して使うバイブコーディング作業基盤です。 今回、VWorkの `project-template` に、次の3つの入口ファイルを追加しました。 - `WORK_PROTOCOL.md` - `AGENTS.md` - `CLAUDE.md` お客様環境でVWorkを始めるときは、`project-template` をコピーして作業フォルダを作ります。 つまり、これからはVWorkを入れた時点で、最初からAI作業プロトコルも一緒に入ります。 標準の作業フォルダは、次のようになります。 ```text customer-work/ ├── WORK_PROTOCOL.md ├── AGENTS.md ├── CLAUDE.md ├── BUSINESS.md ├── RULES.md ├── SERVERS.md ├── TASKS.md ├── WORKLOG.md ├── data/ ├── src/ ├── output/ └── docs/ ``` これにより、CodexでもClaude Codeでも、最初に読むべきルールが明確になります。 たとえば、最初の依頼文はこうなります。 ```text WORK_PROTOCOL.md、AGENTS.md、BUSINESS.md、RULES.md、SERVERS.md、TASKS.mdを読んでください。 まず私の業務課題を聞き取りしてください。 その内容から、最初に1日以内で確認できる成果物を提案してください。 ``` AIにいきなり「システムを作って」と頼むのではなく、まず経営課題、ルール、サーバー、タスク、完了条件を読ませる。 これだけで、AIの動き方は大きく変わります。 --- ## VWorkはどう進化したのか これまでのVWorkは、経営者がCodexと一緒に業務課題を整理し、小さなツールやレポートを作るための作業基盤でした。 今回の追加によって、VWorkは一段進みました。 単なるテンプレートではなく、**AIに仕事を任せるための運用ルールを最初から持ったフレームワーク** になりました。 具体的には、次のように進化しています。 ### 1. AIの入口が増えても迷わない お客様環境では、最初はCodexだけでも、後からClaude Code、別のAIエージェント、ブラウザ自動化、workerジョブが入ることがあります。 そのとき、ツールごとに作業ルールが違うと混乱します。 VWorkでは、入口が何であっても `WORK_PROTOCOL.md` を共通の作業ルールにします。 ### 2. 完了条件が明確になる 経営者にとって困るのは、「できました」と言われたのに、実際には動かないことです。 VWorkでは、`WORKLOG.md` に実行コマンド、出力、確認結果、未確認事項を残す流れを標準にしています。 これにより、作業がブラックボックスになりにくくなります。 ### 3. 外部送信や本番反映で事故を防ぐ メール送信、SNS投稿、YouTube投稿、本番サーバー反映、既存データの一括変更などは、便利な一方で事故につながりやすい作業です。 Kurage Work Protocolでは、こうした操作は実行前に人間へ確認するルールにしています。 AIに任せるところと、人間が判断するところを分けることで、安心してAI活用を進められます。 ### 4. ノウハウが会社に残る VWorkでは、成果物だけでなく、作業過程を残すことを重視します。 - なぜ作ったか - どのデータを使ったか - どう実行したか - 何を確認したか - 次に何を改善するか これが残ることで、外注で作って終わりではなく、会社の中に改善の知識が蓄積されます。 --- ## 経営者にとっての意味 AI導入を「便利なツールを入れること」だと考えると、どうしても単発の効率化で終わりがちです。 しかし、会社を変えるには、AIを日常業務の改善サイクルに入れる必要があります。 VWorkが目指しているのは、まさにそこです。 ```text 業務課題を話す ↓ AIが小さな成果物に分解する ↓ 実装する ↓ 実行して確認する ↓ 記録する ↓ 次の改善へ進む ``` この流れが会社の中に入ると、外注に丸投げするだけではなく、自社の業務を自社で改善できるようになります。 もちろん、すべてを経営者ひとりでやる必要はありません。 エクスブリッジは、VWorkの導入、最初の課題整理、AI作業ルールの整備、業務ツールの実装、動画やSNS発信まで伴走できます。 重要なのは、AIに任せる前に、AIと仕事を進める土台を作ることです。 その土台として、VWorkにKurage Work Protocolを組み込みました。 --- ## エクスブリッジの強み エクスブリッジの強みは、AIツールを紹介することではありません。 実際に、AIでブログを書き、動画を作り、YouTubeに投稿し、SNSへ告知し、VTuberを動かし、ブラウザ操作を自動化し、workerジョブを運用しながら、失敗したところを仕組みに変えていることです。 今回のKurage Work Protocolも、理屈だけで作ったものではありません。 実際の開発で起きた問題、公開確認の漏れ、動画品質の失敗、ジョブ管理の混乱、コミット漏れ、デザインの揺れを、次に繰り返さないために形にしたものです。 AI活用では、成功事例だけでなく、失敗をプロトコルに変えられる会社が強いと考えています。 VWorkは、その実践知をお客様環境へ持ち込むためのフレームワークです。 AIを導入するだけでなく、AIと継続的に仕事を進める会社へ。 その第一歩として、VWorkはKurage Work Protocolを標準搭載しました。 --- ## 関連リンク - Superpowers: [https://github.com/obra/superpowers](https://github.com/obra/superpowers) - VWork GitHub: [https://github.com/katsushi2441/vwork](https://github.com/katsushi2441/vwork) - VWork Blog: [https://katsushi2441.github.io/vwork/blog/](https://katsushi2441.github.io/vwork/blog/) - 株式会社エクスブリッジ: [https://exbridge.jp/](https://exbridge.jp/)